第29回日本脳神経減圧術学会ロゴ

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ご挨拶

第29回日本脳神経減圧術学会 会長
野呂秀策
(社会医療法人医仁会 中村記念病院
MVDセンター長)

北の大地から、
「常識の、その先へ」

このたび、第29回日本脳神経減圧術学会を北海道札幌市にて開催させていただく運びとなりました。会長としてこのような機会を賜りましたこと、心より御礼申し上げます。

本学会のテーマは、「常識の、その先へ」です。
この言葉には、日々の臨床・研究・教育の現場で向き合う問いと、未来へ踏み出す意志を込めました。

その想いは、当院の本庄華織先生により制作された本学会ポスターとして結実しています。本テーマを視覚的に表現したこの一枚が、本学会の精神を象徴する存在となることを願っています。

三叉神経痛、片側顔面痙攣、舌咽神経痛――
これらの疾患に対し、MVDは確立された標準治療として発展してきました。その礎を築かれた先人の努力と洞察に、深く敬意を表します。

一方で、医療は常に進化し続けるものです。

私自身も、三叉神経痛急性発作に対するホスフェニトイン静注療法の臨床試験、上斜筋ミオキミアや片側喉頭咽頭痙攣に対するMVD、Fusion画像の応用、術中モニタリングの最適化などを通じて、既存の枠組みにとらわれない医療の可能性を模索してきました。それらは、「今ある常識」の外側に目を向ける試みでした。

その歩みを支えてきたのは、当院で育った若い術者たちに加え、日々の診療を支える多職種のスタッフの力にほかなりません。

患者さんの苦しみに向き合うとき、私たちに求められるのは、既知に安住することではなく、未知に踏み出す勇気です。
常識とは固定された正解ではなく、問い続けることで更新されるものです。

本学術集会では、先人が築いてこられた知に敬意を払いながら、それを越えていこうとする自由な思考が交差する場を目指します。

そして、若い先生方へ。

この領域には、いまだ多くの未解明な問いが残されています。
すべての常識は、誰かの勇気から始まりました。
次の一歩を踏み出すのは、新しい視点と情熱を持つあなたです。

札幌という地で、学術的な議論とともに、北海道ならではの魅力も感じていただければ幸いです。私たちスタッフ一同、心を込めて皆様をお迎えいたします。

医学の未来は、小さな違和感と誠実な問いから始まります。
すべては患者さんのためにある――その原点を胸に、
ともに考え、新たな地平を切り拓く時間となることを心より願っております。

札幌でお目にかかれることを楽しみにしております。